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『BE-PAL』本誌2004年1月号の大特集は、「絶対観たい!ネイチャー&アウトドア映像」。本誌では書ききれなかった、いま話題の「地上デジタル放送」について、ここで一気に解説しましょう!

『i BE-PAL』読者のみなさま、初めまして! というか、ご無沙汰しております、と書いたほうがいいかな? 私、小坂は、過去に5年ほど、『BE-PAL』編集部に所属、誌面にて恥をさらしていたことがあります。現在『テレビサライ』という月刊のテレビ雑誌にいて、テレビ事情に少しは通じている(はず)……ということで、今回は私が、いま話題の「地上デジタル放送」を解説させていただきます。


NHK総合の『地球・ふしぎ大自然』、日本テレビ系の『DASH村』、NHK衛星第2の『地球 に好奇心』、それに『ディスカバリーチャンネル』や『アニマルプラネット』。『BE-PAL』読者向けの自然番組だけを取っても、最近、テレビのチャンネル数がすごく増えている。

これを整理すると、『ディスカバリー〜』や『アニマル〜』はCSという「衛星放送」。『地球に好奇心』はBSというこれも「衛星放送」。『ふしぎ大自然』や『DASH村』は、東京タワーなど地上の電波塔から発信される「地上放送」となるわけ。
 この「地上放送」をデジタル化しよう、ということで、12月1日、東京・東海・関西の一部で地上デジタル放送が始まった。実を言うと、BSでは3年前にデジタル放送が始まっているし、CSは20世紀中にデジタル化を完了している。地上放送は、最後に残ったアナログ放送というわけだ。
 放送をデジタル化するというのは、番組の制作、電波の発信・受信までのすべてを、デジタル信号に切り換えること。テレビ局も機材を買い替える必要があるし、ぼくたちもテレビを買い替えなきゃいけない。
 えっ、じゃ今までのテレビは使えなくなるの? そのとおり。「いずれ」使えなくなる。国(総務省)は今までのアナログ地上放送の打ち切りを、2011年7月としている。それまではアナログ、デジタル両方やるけど、2011年7月でアナログはやめちゃうよ、というのだ。これ、遠いようで、実は近い。あと7年半のうちに、デジタル放送用テレビを買わなくちゃいかん。
 ある試算では、この間に1億台のテレビが売れるという。1台20万円として20兆円! 経済効果はあるかもしれないけど、じゃあ捨てられる1億台のゴミ問題はどうなるの? 確かにテレビは法律でリサイクルが義務づけられ、メーカーも積極的に取り組んでいるけど、1日3万7000台(あくまで平均)もの処理能力はないでしょう。総務省さん、それは他の省の仕事、なんて逃げちゃいけないヨ。


 さっき、12月1日から放送開始と書いたけど、これは三大都市圏の一部地域での話。現時点では、東海は愛知県尾張地方、関西は大阪府中部と奈良県の奈良・天理・桜井あたりまでが、地上デジタルの受信可能範囲となっている。これに比べると関東はとても狭く、民放は港区・千代田区の一部だけ。今後、じょじょに受信範囲を広げてゆく予定だ。
 いっぽう、三大都市圏以外の地上デジタル放送は、2006年から始まる予定。2011年には、日本全国にデジタル波を行き渡らせ、アナログ放送を終了する、というのが総務省の青写真である。でも、ここだけの話、アナログ放送を2011年に終わらせるのは、無理だと思う。いや、あくまで個人的な予想だけど…。


 というわけで、テレビを買い替えるという出費はもちろん痛いけど、デジタル化のメリットもいろいろある。

A:ハイビジョン放送になる
 信号をデジタル化すると、ひとつのチャンネルに、よりたくさんの情報が詰め込める。そこで地上デジタルは、今までの4倍の情報量(単純計算ですよ、これは)を持つハイビジョン放送となる。
 たとえばガラパゴスに棲むウミイグアナのウロコの1枚1枚まではっきり見える。野原一面に咲くヒナゲシの一輪一輪、花びら1枚の風に揺れる様子まで、きめ細かく映せるから、自然系番組はより臨場感が増し、番組の価値が上がるというわけだ。

B:データ放送が始まる
 キャンプや登山の前には天気予報を確認! 『BE-PAL』読者の鉄則ですな。昔は177番に電話していたけど、最近はネットで確認する人が多いだろう。これがなんと、テレビでいつでもわかるようになる。それがデータ放送。
 簡単なリモコン操作で、好きなときに、天気予報やその日のニュースを、画面に呼び出せるのだ。原則静止画だが、週間予報や地域別の予報もわかる。局によっては、郵便番号で指定した地区の雨の降り出しを画面と音で教えてくれるというサービス(といってもタダ!)も。
 釣り好きの私としては、千曲川上流の雨の有無が、東京にいながらリアルタイムでわかるわけで、もうあそこのイワナは全部釣れたようなもんですな。あ、いまは禁漁期間か……。
 そのほか、テレビ画面に各局の番組表が呼び出せたり、5.1chサラウンドという、まるでその場にいるかのようなサラウンド放送も可能になる。デジタルは電波障害にも強いので、車載テレビがきれいに映るという期待もある。ま、これは運転手には関係ないがね。


 この質問には、何も始まらない、と答えるしかない。地上デジタル放送は、ハイビジョン放送になったり、データ放送という「オマケ」がついたりはするが、番組自体はアナログ放送とほぼ同じなのだ。つまり、アナログ放送でやってる番組の高画質版、と考えればいい。
 ただ、すべての局のすべての番組が同じように高画質か、というと、違う(ややこしくてスマン)。実はハイビジョンにも2種類あって、テレビ局は、制作段階からハイビジョンのものを「ピュアハイビジョン」といって区別している。
 じゃあそれ以外は、というと、制作はアナログ機材を使い、無理矢理ハイビジョンにしちゃった、いわば「あげ底ハイビジョン」。こっちは当然、画質が落ちる。なんでこんなことになるかというと、テレビ局も機材をいっせいに買い替えるわけにいかないし、慣れないデジタル機器で放送事故を起こすのも怖いんですな。

 では、どんな番組がピュアハイビジョンで放送されるかというと、うれしいことに、『ふしぎ大自然』などのNHKの番組は、9割方がピュアである。特番でたまにやる、今森光彦さんや嶋田忠さん、栗林慧さんの番組も、もちろんピュア。TBS系の『世界遺産』もピュアだ。逆に『DASH村』などは、当面はピュアでの放送はない。


 ここからは受信機器の話。最低限必要なのは、地上デジタルチューナーとUHFアンテナだ。なぜUHFかというと、地上デジタルはすべてUHFの電波を使うから。今までUHFを受信していなかった人(これはとくに東京都に多いと思う)は、新たにアンテナを立てなきゃいけない。ちなみに、屋根に登って工事するとなると、アンテナ代込みで3万円くらいかかる。
 地上デジタルチューナーは、単体のものもあるし(7〜8万円)、テレビに内蔵したものもある。原則として、地上デジタルチューナーといえば、BSデジタルも受信できると考えていい。
パナソニック「ビエラTH-32LX20」
 このうち、テレビに内蔵しているもの、つまり「地上デジタルチューナー内蔵テレビ」を購入するのであれば、難しいことはいっさいない。このテのテレビは最新型だし、画質もハイビジョン対応となっている。これとUHFアンテナをつなげば、地上デジタル放送がフルに楽しめるし、パラボラアンテナを立てれば、BSデジタル(これもハイビジョンが基本)も楽しめる。
 単体の地上デジタルチューナーで見る場合、事態はちょっと複雑だ。つまり、どんなテレビにつないで見るかが問題となってくる。ハイビジョンテレビで見るなら、チューナー内蔵タイプと同じように楽しめるだろう。しかし、ハイビジョンではない、従来型のアナログテレビで見るとなると、どうか。画質はハイビジョンではなくなってしまう。すると、番組内容はアナログ放送もデジタル放送もいっしょだから、今までのアナログ放送と、何ら変わらないものを見ることになってしまうのだ。

 ここで結論。すでにハイビジョンテレビ(地上デジタルチューナーは内蔵していない)を持っている人は、単体チューナーを買う。従来型のアナログテレビを持っている人は、地上デジタルチューナー内蔵のハイビジョンテレビを買う。これが、正しい買い物だ。
 もちろん、いずれも慌てて買う必要はない。内蔵ハイビジョンは、まだまだ高い。2011年までのどこかで、買えばいいのである。


 「好きな番組は『ディスカバリーチャンネル』」という人のなかには、ケーブルで見ている人も多いはず。ちなみに僕もそのひとりだ。じゃ、ケーブル加入者は、地上デジタルを見られるのか。これは加入している局によって違いが大きいが、「いずれは見られる」というのが正しい。恐らく2004年の春ごろまでに、かなりのケーブル局が、デジタル波を流し始めるはずだ。
 デジタル波の流し型にはふた通りあって、局次第だが、ひとつの方法では、受信するのにUHFアンテナもチューナーも買わなくていい。もうひとつの方法では、チューナーは必要だが、UHFアンテナはいらない。いずれにしろ、初期投資が安くすむのが魅力だ。ただし、月々の視聴料金は、今までのアナログ契約より、1,000円〜2,000円くらい高くなる。
 僕は調布に住んでいるが、加入しているJ−COMがデジタル放送を始めるというので、さっそく申し込んだ。遅くとも1月中には、地上デジタルやBSデジタルが見られるようになるはずだ。しかし、悲しいかな! 我が家のテレビは、4:3のアナログなのだ。つまり、ハイビジョンでは見られないのである。それでも契約するのは『テレビサライ』という仕事のため。ああ、ハイビジョンテレビ、欲しいなあ……。


 さて、ここからは、地上デジタルに限らず、テレビ全般の話をちょっとしてみたい。みなさんは、次にテレビを買うとしたら、どんなテレビがいいだろう。ブラウン管が欲しいという人は、あまりいないだろう。たいていの人は、液晶やプラズマなどの「薄型テレビ」にしたいと思っているはずだ。
 ここで気を付けてほしいのは、「薄型テレビ」と「ハイビジョン」とは、なんの関係もないということだ。薄型テレビというのは、テレビの形であり、発光の仕組みの話。ハイビジョンというのは、画面のきめ細かさの話。ランタンにも、ホヤを使うものと蛍光灯を使うものがあるけど、単純にどっちが明るいとは言えないでしょ?
 で、何が言いたいかというと、薄型テレビでもハイビジョンじゃないものはあるし、ブラウン管にもハイビジョンテレビはあるということ。
日立「Wooo W32-P5000」
 ちなみに、30V型の液晶ハイビジョンは、45万〜50万円くらい。それとほぼ同サイズの、32型ブラウン管ハイビジョンは、25万円くらい(どちらも地上デジタルチューナー内蔵の場合)。ブラウン管なら、同じ性能でほぼ半額だ。
 ただし重さを見ると、液晶は30kgくらいなのに、ブラウン管は60kgになる。36型になると、100kg近くになる。とてつもなく重いし、当然奥行きも大きくなるが、それさえいとわなければ、ブラウン管という選択肢もあるということを頭に入れておこう。
 また、家電量販点のチラシなどで、ときおりかなり安い値段(1インチ1万円を切るくらい)のプラズマテレビを見かけるが、これなどは逆に、ハイビジョンに対応していない薄型テレビと思っていい。もっとも、だから買うなというつもりはない。ハイビジョンではなくても、DVDなどはキレイに映る仕組みになっている。
 ただ、こういった製品は、地上デジタルチューナーを内蔵していない。今の予定では、2011年にまたテレビを買わなければいけなくなる。そう考えれば、それほど安い買い物とはいえないだろう。


 以前、今森光彦さんにうかがったところ、自分の撮った番組の意図が伝わるには、最低でも42型は必要とのことだった。ハイビジョン放送は、アナログ放送より画面が横長になる。映画のビスタサイズに近い感じだ。すると、動物や昆虫など、その映像の「主人公」を映しながら、彼らの棲んでいる環境も同時に伝えることができる。見ている側は、自分もその場にいるような臨場感を味わうことも可能だ。そのためにも、42型以上という大きさが理想的なのだ。
 42型となると、テレビは必然的にプラズマとなる。液晶テレビは大型化が難しく、今のところ国産では37V型というのが最大。ブラウン管は重さが災いして、36型が最大だからだ。
 ただし、42型のプラズマハイビジョンテレビ(最新型)は、店頭で70万円から80万円くらい。軽自動車が買えそうな値段で、そのうえ、横幅は1m20cmを超える。ちなみに私の釣った一番大きい魚は1mのソウギョだが(自慢)、それよりまだ大きいわけだ。そんなものを置く余裕が、キャンプ道具のあふれる家のなかにあるのか???
 みなさんよーく検討しましょう。理想は高く、現実は忘れず、ということデス。
 あれ? 「i BE-PAL」担当の竹内さんが怒っているゾ。どうやら、長々と書きすぎたみたい。仕方がないので、ここらでまとめます。


 ABCともに、予算はすべて地上デジタルチューナー内蔵の最新型のものだ。個人的な意見だが、ゴミを減らし、環境への負担を軽減する意味からも、2011年にまた買い替えなければいけないテレビはおすすめできない。あとはフトコロとの相談だが、前にもいったとおり、慌てることはない。いま店頭にある地上デジタルチューナー内蔵テレビは、すべて最新型。値段がもう少し下がるのを待つのもテだ。
 長々とおつき合いいただきまして、ありがとうございました!

(月刊『テレビサライ』編集部・小坂真吾)



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