本誌はみ出し情報
多摩川の自然をアピールする、俳優・中本賢さんの「秘密兵器」たち
 『BE-PAL』本誌2004年1月号、27ページで紹介した俳優の中本賢さんは、何台も「水中ハウジング」を手作りしたことが、楽しくてしかたがなかったそうだ。
 「最初に物があって、だから何かを始めるわけじゃない。自分のやりたいことをかなえてくれる物がないから、手作りする。それなら、どうやったら自分の理想に近づけるか、それ自体を遊びにしない手はないですよね。これらのハウジングは、パーツのひとつまで思い出がある。僕の青春みなたいなものです」
 そう語る中本さん。本誌ではちょっとしか紹介できなかった「塩ビパイプ製ハウジング」と「水中アパッチ」を、ここで詳しく解説してみよう。


中本 賢さん(俳優)。映画『釣りバカ日誌』などで活躍する個性派俳優。
水中にうつぶせになるから、「人が死んでる」って通報されました(笑) 塩ビパイプ製ハウジング
 撮影目的は、多摩川のアユの産卵である。水の濁った浅瀬での撮影なので、アユが近寄ってきたところで、広い画角で撮影したい……というわけで、ワイドコンバータを装着したビデオカメラを入れるハウジングを考えた。
 構造はごくシンプルで、筒状のボディーは中央部で前後に分かれるようになっている。最も工夫したのは、モニターを斜め上方から見えるようにしたことだ。
 「後方からファインダーやモニターを見る構造だと、浅い流れの中にうつ伏せに寝なければいけないから、首が無茶苦茶苦しいんです。何度も『人が死んでる』って通報されましたねえ(笑)。『大丈夫ですかあ?』って石を投げられたりもしたし(笑)」
 別売のカシオの液晶モニターを本体の上に斜めに固定し、それを上から眺められるようにしてある。これで、撮影姿勢はぐっと楽になった。
 もうひとつの大きな工夫は、各種のスイッチ類の操作部。スイッチのある部分に四角い穴を開け、薄いゴムの膜を凹んだ形に貼りつけてある。指をその部分に入れ、ゴム膜越しにスイッチを操作するわけだ。
 ゴム膜は普通にホームセンターで売られているものだが、それをボディーに固定する接着剤は、これというものを見つけるまで、相当な試行錯誤があったようだ。
 「各種の瞬間接着剤や水槽用のシリコンなどを試したけど、接着力が弱かったり硬化した後にパリンと割れてダメだったですね。結局、靴の踵が減ったときに修理するチューブ入りのゴムがベストという結論になりました」
 ひと昔前の水中ハウジングによく似た外観で、なかなかカッコいい作品だ。
駅弁売りのように首からさげた箱にビデオカメラを装着 水中アパッチ
 水中ハウジングは、人間がそばについて操作しなくてはいけないので、警戒心の強い魚などでは撮影が大変。そこで中本さんは、これを考案した。
 CCDカメラを円柱状アクリルケースの中に入れ、それを長い竿の先につける。そして、ケーブルでその映像を引っ張ってきて、手元のカメラで見るのだ。
 CCDカメラはソニー製で、ミニDVデッキ用のカメラだが、現在は売られていない。今日ではエルモ社、モスウェル社など、より小型のCCDカメラが市販されているので、それを使えばよいだろう。水中撮影していると、アクリルケース内が曇ってしまうので、除湿剤を一緒に入れるのもコツだとか。カメラを取り付ける竿は、一脚(写真用品)のように、構造が丈夫で伸縮できるものが便利だ。
 カメラ本体を、胸の前に固定する方法がまたユニークだ。組み立てラック用のL字金具の角に、三脚(写真用品)の雲台を取り付けて、それにビデオカメラを装着する。L字金具からは、ベルト固定用の金具が垂直に出ており、それに幅広いベルトを通して、胸の部分に固定する。もちろんこれだけではカメラが重さで引っくり返ってしまうので、L字金具の頂点近く(雲台のそば)に、首から下げた紐を固定できるようになっている。
 わかりやすくいえば、駅弁売りのように箱を首からさげ、箱についたベルトを胸にぐるりと回して安定させている。そしてこの箱にビデオカメラがついていると思えばいい。
 「液晶モニターを、サングラスのように目の前に下げて見られるような市販品もあるようですが、あれはダメ。僕たちは川の中を歩かなくちゃいけないから、目の前をふさぐのは危ない。モニターが胸の前あたりにあるのがベストだと思います」
 カメラ用品以外は、ほとんどがホームセンターで入手可能な材料ばかり。ひとつひとつ工夫して作るのが工作の醍醐味だろうし、それだけに愛着もわくというものだ


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