アウトドアエッセイ

帰ってきた混浴秘湯 山崎まゆみ

●第26回●
日本とアメリカの温泉、どっちがいいでしょう!?

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ワイルドウィリーズ温泉

10月7日(土曜日)に発売した『週刊ポスト』(小学館刊)のグラビアページ「カリフォルニアの絶景湯紀行」の取材で“カリフォルニア温泉三昧”の幸せな旅をしてきました。場所は、美しい湖が点在するマンモスレイクスの周辺。ロスからサンフランシスコのちょうど中間地点くらいの位置で、ロスからだと車で約6時間ほどの所です。

その時に発見した日本とアメリカの温泉の違いをいくつか記してみます。アメリカといっても、ま、カリフォルニア州の場合ですがね。

【その1】 
カリフォルニアの湯から眺めた空の風景がとても印象に残っています。真っ青な空にぽつんぽつんと雲がたなびく様子は、日本の温泉からでは滅多に出会えない景色でした。ロスからマンモスレイクス周辺へ行くハイウエイから見た広大な景色にも驚きましたが、湯から見た空の大きさも巨大なアメリカ大陸を表しているように感じました。空を眺めるのことが大好きな私には嬉しい入浴でしたね。


【その2】
 カリフォルニアの野湯で感じたあの爽快感は最高でした。陽射しが強くからっからの空気は、日本の温泉情緒とは対極で、日本が“潤いの温泉”だとしたら、カリフォルニアの温泉はカラリとした“爽やかな温泉”。日本の温泉の様な瑞々しさはないけれども、まるで軽快な温泉が流れるように、爽やかな風が流れ清々しい温泉でした。だって湯から上がり、さて、服を着ようとしているほんのつかの間で、タオルで拭かなくていいほど湯が蒸発してしまうんですよ。

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ロスからマンモスレイクスへ行く途中にある地元で有名なビーフジャーキーやさん。

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谷上にあるバッカイ温泉

【その3】
 誰も何も隠さないネイキッド姿で入浴するアメリカ人。アメリカは公的な場では裸になることを禁じられていると聞いていましたが、こうした野湯は生まれたままの姿で湯にくつろいでいました。もちろん、日本の混浴で裸で温泉に入ることに慣れていたはずの私ですが、日本とアメリカの“ネイキッド”の意味合いは全く違い驚きっぱなし。(笑) 日本の混浴風景は恥じらいを前提とした雰囲気があります。こう、なんていいますか、羞恥心というものを持ちながら混浴をするのが日本人だとしたら、カリフォルニアの温泉通たちはネイキッドでいることを楽しんでいる様子。彼ら、彼女らは、「この大自然と一体になれるカリフォルニアの温泉に来て、なぜ、服を着なくてはならないんだい?」と、言い放ち堂々たるもの。ちょっとは隠してよん、と、私は苦笑するしかありませんでした。


【その4】
 カリフォルニアで金の掘削をしていた人たちの癒しの湯。農耕民族の日本の人たちが農閑期に湯治をする習慣があったように、カリフォルニアには語1800年代後半のゴールドラッシュの頃、金を掘削する労働者を癒した湯というのがありました。トラバーチン温泉は、そうした歴史があります。

【その5】
 キレイ好きなアメリカの温泉通たち。日本でも野湯の管理は、その湯を愛する同士らで掃除や湯の管理をする場合があります。もちろん、日本の野湯はよく掃除されていますし、気持ちよく入浴できました。カリフォルニアの野湯の掃除の行き届いた湯船の状況を見ても、アメリカの温泉通がどれほどこの温泉を大切にしているかがわかりました。

温泉に入りながら、カリフォルニアの温泉通と日米の温泉談義をしました。私は、日本の温泉文化の素晴しさを語り、彼ら彼女らは雄大なカリフォルニアの自然素晴しさを語る。勝負していたわけではありませんが、私としましては、日本の雪見風呂に勝敗があったかなと思っています。近著の『いい湯にであう。』にある雪見風呂の写真を見せながら、カリフォルニアの様にからりとした空気ではなく、しっとりした日本の冬の温泉入浴の気持ちよさを話しましたところ、(私の拙い英語ですので、伝わったかはわかりませんが……)、彼ら彼女らは雪を見ながら湯に浸かる写真を食い入るように眺め、そして憧れの眼差しを向けていました。きっと、日本の温泉に入ってみたいと思ったことでしょう。

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シフォン温泉

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こうした美しい湖がいくつもあるマンモスレイクス。ここから車で30分圏内の距離に野湯が点在している。

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カリフォルニアの温泉通がくつろぐトラバーチン温泉

お国が違えば、温泉も違うし、入浴方法も違う。温泉に入る人も違い、それに、空気が違えば入浴した時の感じもまったく違う。ただ、日本とアメリカで共通なことは、入浴するときに「うぅぅ〜〜〜」というあのうめき声の様な声を出すのは同じでしたね。これは、最近、万国共通なのかなという気がしています。 私の世界中の湯めぐりはまだまだ続きます。



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