アウトドアエッセイ

帰ってきた混浴秘湯 山崎まゆみ

●第6回● 白骨温泉『泡の湯旅館』へ行ってきました
 私のお気に入りの混浴露天風呂のひとつに、白骨温泉の『泡の湯旅館』があります。ここは、是非、混浴初体験という女性にお勧めしたい所です。

 まず、受付でお願いをすれば、女性はバスタオルを貸してくれます。そして、男女別の脱衣所があり、女性は女性専用の脱衣所でバスタオルを巻き、脱衣所の目の前で肩までお湯に浸かってから混浴スペースへと進めます。湯は、白く濁っているので、入浴してしまえば、もう恥ずかしさも半減。そして、ひとたび、混浴露天へと出てしまえば、もう羞恥心に恐れる事はありません。ここの露天風呂は、広々としているので、人と人との間の距離をとることもできます。そして、人工的な湯船ではなく、自然の窪みに湯が注がれているので、ちょっとした窪みなどもあり、目立たない所に身を隠すこともできます。
女性脱衣所前。ここで湯に浸かってから混浴露天へと出られます。
 

 メディアでよく取上げている有名な混浴露天風呂ですし、このロケーションのおかげでしょうかね、若い女性の二人組や熟年の女性グループと、けっこう女性をみかける混浴です。
 けれども、私が泡の湯旅館を愛して止まないのは、そこに、「混浴は日本の文化です」という女将さんがいらっしゃるからです。混浴に対する女将さんの思いは強く、「私も幼い頃、この混浴風呂で、お風呂での作法や人への思いやりを教わりましたからね」と、語ってくださったことがあります。こういう女将さんの存在が、減りゆく混浴の救いです。
 昨年の初夏、白骨温泉の騒動で、温泉ライターである私のところにも、多くの週刊誌やTVの記者の方々からコメントを求められました。けれども、私は、自分が取材したわけでもない事のコメントはお断りしてきました。
 そして、年が明け、1月の中旬にTVの制作会社の方から連絡を頂きました。「女性でも入りやすい混浴風呂を取上げたいのですが」と、相談を受けて、真っ先にロケ先を思い浮かべたのは、泡の湯のあのお風呂でした。そして、1月末に、このTVのロケで白骨温泉泡の湯旅館へと行ってきました。長い時間を割いて語り合うことができませんでしたが、騒動の頃の様子、騒動後のお客さんの激減の状況などを女将さんが話してくださいました。

 言うまでもなく、泡の湯旅館は、自家源泉を持ち、毎分1893リットルもの湯が湧出します。加熱もしないから、冬場が少々温いのは仕方ない。「お湯が自慢ですから」という女将さんの言葉通りに、源泉から生まれたばかり存分な湯が、湯船に注がれています。この景観は、日本の温泉情緒の何物でもありません。私はこれからも私自身が心から素敵だと思える白骨温泉の泡の湯旅館の素晴らしいかを皆さんにお伝えしたいと思っています。
 

 私にとって「温泉」は、一時の夢を与えてくれる場所です。
 私の記事を読んでくださり、番組を観て下さる方が、温泉へ行きたいと思ってくださること、または時間の余裕がなく温泉へ行けない方々の心が温まれば、私はどんなに幸せでしょう。みなさんの一服の清涼剤になりたい、そんな想いで、“温泉ライター”をやっています。




↑このページのtopへ↑