ドラがお世話になったルコンテ・レンジャーステーションは、ぼくにとって、運命的とも言える思い出の場所でもある。ぼくがはじめて会い、親しく話したウイルダネスのレンジャーは、ルコンテに到着した3日前に通過したマクルーアー・レンジャーステーションにいたランディー・モーゲンソンだった。1993年のことだ。その2年後に全行程をスルーハイクしたとき、彼はルコンテのステーションに移っていた。そこで彼と再会を喜んだ。93年に会ったとき、「来年また来るからね」と言って別れたことを彼は覚えてくれていた。
「去年、来ると言っていたのに来なかったから心配していたよ」と、頬髯、顎鬚に覆われた顔をほころばせながら握手をしてくれた。その目の優しさが、いまでも印象に残っている。この日キャンプを予定していたディアーメドウには、あまり大きくはないがクマがいるから気をつけるように、と忠告をしてくれた。15分ほど話し、さまざまな情報をもらい、ハグして別れた。「グッドラック!」と大きな声で叫ぶ彼の声に振り向き、ぼくはにこやかに大きく手を振った。それ以来、10年以上彼に会うことはなかった。彼の情報は、その後会ったどのレンジャーから聞くこともなかった。 |
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