アウトドアエッセイ

新・アパラチアン・トレイルの旅 加藤則芳


現在地

アパラチアン・トレイルとは?
trail 15 帰国後
感動の連続だった
ハイアルパインの世界

10月6日に無事マウント・カタディンに到達しました。みなさまのご声援を心より感謝もうしあげます。


 到達の二日後に、なんとかその模様をお伝えすることができましたが、その前、一ヶ月あまりにわたって、インターネット環境がまったく整わなかったため、9月2日を最後にカタディン到達までのご報告ができないでいました。
 その9月2日という日は、ご存知のハリケーン・カタリナの影響で、町で待機していたときのものでしたが、じつは、それ以後が、わたしの心にとって、より大きな感動の連続のエリアだったのです。

14の州にまたがるアパラチアン・トレイルの13個めの州がニューハンプシャーです。最後に原稿を送った9月2日以降、それまで約2900キロほどの距離を歩いてきたアパラチアン・トレイルがはじめて、このニューハンプシャー州で森林帯を抜け出し、ハイアルパインの世界に入ったのです。ただひたすら、もくもくと森林帯を歩いてきたハイカーたちにとって、その風景の展開は感動の瞬間でした。

 そこから最後のメイン州に入り、カタディンに至るまでの600キロほどにわたって展開される風景の荘厳さ、そのなかを歩く心の高揚感をお伝えできなかったことが、わたしにとってある種のストレスにさえなっていました。それほどにこのエリアがわたしたちに与えてくれたインパクトは大きかったのです。森林限界をはじめて越えたとき、それまでの2900キロにわたる苦闘を想い、多くのハイカーたちの心に熱いものが流れました。

↑マウント・カタディン(到達2日前)


↑マウント・ワシントン(ニュー・ハンプシャー州)


↑レッド・カーペット(メイン州)



↑バルド・ペイド・マウンテン(メイン州)


↑モクシー・バルド・マウンテン(メイン州)


↑クレセント・ポンド(メイン州)


↑カタディン到達前日(メイン州)


↑ジョー&メリー・ポンド(メイン州)
 それはまた、最後の州メインに入ったときも同じでした。「Welcome to Maine 」のサインを見たとき、とうとう最後の州にたどりついたのだという思いが、彼らの感動を誘いました。その姿を見たとき、わたしにもまた、熱いものがこみあげてきました。

 わたしの感動は、自分自身がなしとげようとしていることに対する思い以上に、このとてつもなく長い距離と日数とのなかで、心を分かち合ってきたハイカーたちへの賞賛の気持ちと、彼らと、あるいはわたしたちを支えてくれたすべての人々への感謝の気持ちによるものだったのです。

 カタディン到達から10日めに帰国しました。到達したその日からつい数日前までの2週間ほど、わたしの身体は異常なほどの疲れに襲われ、帰国以来、しばらく休養していました。20キロ弱の荷物を一日10時間、6ヶ月にわたって背負って歩いた異常な行動によって、身体のバランスが完全に崩れてしまっていたのです。脚の筋肉は20パーセント増しになり、ストックワークを続けてきたことによる腕と胸の筋肉も、何人もの人に「ひとまわり大きくなったみたい」と言われるほど、はっきりと増強されています。それらの筋肉をほぐし、血流をよくすることが当面の課題のようです。

 ニューハンプシャー州、メイン州と、お届けできなかったすばらしい風景写真の何枚かをここでお届けします。

 アパラチアン・トレイルを完遂した記録をまとめ、来年になるか再来年になるかわかりませんが、本にするつもりです。あまりにも内容の濃かったトレイル歩きだっただけに、いかに取捨選択し、じょうずにまとめるかが、これからのわたしの一番大きな課題です。

 最後に、今回の旅をさまざまな形でサポートしてくださったスポンサーの方々に心より、お礼申し上げます。ありがとうございました。

 装備に関しては、いかに荷重を軽くするかが大きなテーマでした。このトレイルを歩くすべてのハイカーにとって、それが成功するか失敗するかを決めるほどに重要な問題だったのです。  お世話になった装備をおおまかにご報告しますと、

・衣類一式・靴・スリーピングバック
・バックパック
・テント類一式
・キッチンセット(コッヘル等)
・クッキングコンロ等
・カメラ類
・時計
・フィルター付きウォーターボトル
・アミノヴァリュー等サプリメント
→The North Face(ゴールドウイン)
→Gregory(A&F)
→ICI 石井
→EPI(ユニバーサルトレーディング)
→MSR(モチヅキ)
→PENTAX
→CASIO
→Seychelle
→大塚製薬

 こまごまとした装備報告は、雑誌やいずれ書く本のなかで紹介します。上記のすべてが、今回の成功をあらゆる面から十二分に支えてくれました。

 半年にわたるアパラチアン・トレイルの旅が終わりました。わたしにとっては、これからそれをさまざまな形で表現していく仕事がはじまります。

 最後に、わたしの旅に興味を持っていただいた読者の方々に、心より感謝もうしあげます。ありがとうございました。今後とも、どうぞよろしくおねがいもうしあげます。

(END)


↑マウント・カタディン(到達前日)


↑I made it to Mt.Katahdin!


プロフィール
加藤則芳

かとう・のりよし。作家・バックパッカー。出版社勤務を経て、1980年、八ヶ岳へ移住。森の生活を楽しみながら、世界各地を歩き、国内外の自然や自然保護をテーマにした執筆活動を続ける。現在、横浜市在住。著書に、「ジョン・ミューア・トレイルを行く バックパッキング340キロ」「森の聖者」「森の暮らし 森からの旅」など。

・加藤則芳オフィシャルサイト 〜バックパッカー歳時記〜
http://www.sotoaso.com/blog/kato/


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