本誌の人気連載「モリさん今日も森の中」が、単行本になりました。
関東最後の秘境・奥利根をフィールドとする“モリさん”こと
高柳盛芳さんが指南する、猟師の師匠ゆずりのアウトドアの知恵。
自然とのつきあい方が、ぎっしり詰まったこの一冊から
代表的な“モリさん式”野遊び作法を、いくつかご紹介します。
奥利根は、何度足を踏み入れても美しく、興味の尽きないフィールドだった。だが、一番感動したのは、案内人であるモリさんの、俗人離れした「能力」だ。
紅葉まっさかりの山に、いきなり雪が降った。奥利根の冬は突然やってくる。クマもあわてて木の実を漁っていることだろう。
クマ鍋。奥利根地方は味噌仕立て。高柳流はクマ肉を一度ボイルしてアクを抜いてから鍋に入れる。味噌、酒、ニンニク、生姜、牛蒡、長葱、蒟蒻、豆腐、大根、人参、茸を入れてじっくり煮込む。白菜をいれても美味。肉は脂身つきのものが極上。クマ肉とは思えない上品な味に仕上がる。
クマ対人間、知恵と野性の真剣勝負
奥利根にはクマが出る。自然の中で暮らせば当然の、野生動物との共存と対立。猟師の師匠を持つモリさんならではの、クマの性質・行動分析が見所だ。
《熊撃ちには、ふたつのやり方がある。ひとつは巻き狩りというグループでやる猟。勢子と射手に分かれ、勢子のほうにクマを追っていく方法だね。大がかりなときは10人以上、距離にして3kmぐらいの大プロジェクトになる。でかい山、人数が少ないときほど、念密な打ち合わせが必要とされる。もうひとつが、忍びだ。これは、エサを漁ったり遊んでいるクマに、気配を悟られないようにそっと近づいて打つやり方。巻き狩りは知恵の猟だが、忍びはいってみれば、動物対人間の、野生と野生の勝負だ》
ある夜、ダムサイトに開店した「バー奥利根」にて。ヤマブドウは、リカー系のお酒とほぼ相性がよいことがわかった。
世界にひとつ!
モリさんレーベルのヤマブドウワインとカクテル
偶然作った奥利根限定オリジナルカクテルは、香りも味も最高!! ただ只今、名前を思案中。そして、何年もの試行錯誤の末できあがったモリさん流ヤマブドウワインのうまさの秘訣は?
《ヤマブドウは山の幸の中でも、とびきり味のいいほうに入ると思うな。ただ口に入れるだけでは、なるほどワイルドフルーツだって思う程度かもしれない。けど、ちょっと手をかけるとうんと味が立ってくる。ヤマブドウの粒を潰してシェイカーに入れ、氷とジン.本の少しの砂糖を入れてシェイクしたら、薄桃色でものすごく香りのいい、爽やかなカクテルになった。ウォッカベースも上品でうまい! バーで胸張ってだせるぐらいの味で、ものすごく評判がよかった》
ブナの樹皮に鉈の先で浅く切り込みを入れると、木が生長するにつれて傷(文字)が大きく、太くなってくる。東北のマタギも切り付けを残している。
「切り付け」と熊猟師
自分が来た証、歴史を語る「切り付け」
「切り付け」とは猟師が木に残す、サインのようなもの。樹木と共に、何十年も何百年も残されていくかもしれない「切り付け」に、奥利根の自然と歴史の脈々たる流れが垣間見れる。
《自分は、どこそこの者です。私は何年何月何日に来ました。切り付けは猟師の宿帳みたいなもので、同時に卒塔婆的なもんだったらしい。山の中ではなにが起こるかわからない。ひっそり息絶えることもある。
俺は切り付けの名前や住所を頼りに、明治時代の猟師の生地を訪ねて新潟までいったことがあるよ。その家が見つかって、ご子孫から家に伝わっている話を聞かせてもらったり、残っている写真を見せてもらったときは、見ず知らずの人だけど、ものすごく感動したね。向こうの人だって、自分たちの知らない先祖の歴史の一面を、そのときはじめて知ったんだよ。》
幾タイプも試した結果、現在はこの形式に落ち着いた。100リットルドラム缶を上下に2段重ねにする。熱源の炭に近いところでは囲炉裏風の焼き魚もできる。煙(燃焼状況)は蓋の穴で開閉調整する。
右上から時計回りに、コシアブラ、フキノトウの天ぷら。シオデ、ゴワラビのワサビマヨネーズ。ウドきんぴら。ヨブスマソウのおひたし。ジッタケ(ネマガリタケ)の焼き物。フキノトウのジジ焼き(味噌入りお焼き)。アブラコブミの胡麻和え。
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